第2章 新たな教育センターについて 1.新たな教育センターの整備方針 教育センターの現状と必要性を踏まえ、新たな教育センターの整備方針を示す。 (1)基本理念 「子どもの新たな学びを創造する『教育デザインラボラトリー』」 ~産学官と連携し、子どもの教育に関わる様々な人々が集い、互いを刺激し合う開放的でクリエイティブな教育センター~ <目指す教育センター像> 1「多様な主体が新たな考えを持ち寄り、子どもの学びを創造」(オープンイノベーション) 2「子どもの成長に関わる人々の結節点」(コミュニケーションのプラットホーム) 3「自宅や学校・職場を離れ、多様な価値観に出会う場」(サードプレイス) ・新時代の到来を見据え、企業や大学、教育関係機関等、教育に関わる様々な人々をはじめ、教育分野に加え、国際交流、 ICT、福祉、医療、環境等、様々な分野の人々と連携・協働することで、多様な価値観で、教育活動の充実を図る。 ・教育に関する最新の情報や専門的な知見、新しいアイデアに触れることで、創造的な教育活動を促進する。 ・子どもの豊かな学びや育ちのため、様々な課題を抱える子ども一人ひとりに寄り添い、多様な個性を引き出し輝かせる。 ・教職員の主体的な学びを支援するとともに、自宅や学校・職場以外の場として、様々な人々と出会い、つながりを持つことができ、安心して学べる機会を提供する。 <核となる機能> 新たな教育センターの基本理念を実現していくため、「調査・研究・開発」を核とした「人材育成」「発表・発信」「教育相談」の4つの機能を構想・集約し、各機能の連携により相乗効果を発揮する。 調査・研究・開発を核として機能を集約することで、教育相談や学校教育事務所等の教育現場から得た課題について研究し、その効果を共有することで、より実践的な研修を通した人材育成や、専門性の高い教育相談を行う。 【図】新たな教育センターの概念図 (2)新たな教育センターにおける取組 1)調査・研究・開発 〇多様で質の高い研究の推進 ・横浜らしい多様性を活かした各教科等で行っている教育課程研究、日本語指導が必要な児童生徒への支援やいじめ・不登校児童生徒への支援等の教育課題研究、学習指導案や単元づくり等の日々の授業改善の3つの柱に基づき、学校現場のニーズを踏まえた実践的な研究を行う。 ・保育・幼児教育から小学校・中学校・高等教育までの連続性のあるカリキュラムの開発を行う。 ・特別な配慮や支援を必要とする子どもへの効果的な学習等の具体的手法や取組の研究・開発を行う。 ・大学、企業、地域が学校と連携する地域学校協働活動等、学校教育と社会教育の連携や質的向上に向けた研究を行う。 <想定する取組例> ・「横浜市立学校カリキュラム・マネジメント要領」の活用 ・各教科等の教育課程研究委員会における実践的な研究 ・教育研究会との連携による授業研究 ・一種研究員や大学院派遣の教職員による研究 ・大学や企業と連携した共同研究の実施 ・幼保小接続期カリキュラムの推進 ・幼児教育から高等教育までの連続性のあるカリキュラムの設計 ・学びの個別最適化によるモデル研究 ・ユニバーサルデザインの視点に基づく授業の実践研究の実施 ・一般学級における障害のある児童生徒への支援の授業実践 ・児童生徒支援体制の充実に向けた「子どもの社会的スキル横浜プログラム」の活用 ・地域学校協働活動の先進事例や他地域等への拡大等に向けた検討 〇ICTを活用した新たな学びの手法の研究・開発の推進 ・ ICT環境・機器を整備し、ICTを活用した先駆的な研究や教材開発を行うとともに、ICTを活用した子ども一人ひとりへの学びの機会を保障する。 <想定する取組例> ・企業・大学等と連携したプログラミング教育や情報活用能力の育成に向けた研究や教材開発 ・ AIを用いた個別学習やタブレットを活用した双方向型授業 ・5 Gを活用した遠隔授業の実施に向けた実践研究や機器貸出 ・オンライン上で教材等を共有・活用できるシステムの活用(教材等共有システム) ・不登校児童生徒への ICTを活用した学習支援の実施 ・学習支援アプリを活用した授業研究、教材開発 ・授業のポイントをまとめた動画の配信に向けた開発 〇客観的な根拠に基づく教育政策の推進(EBPM) ・各種の教育統計や国と市の学力・学習状況調査等のデータを企業・大学と連携しながら活用し、状況把握や分析、施策の効果検証を行い、学校の授業改善や教育施策に活かすとともに、保護者や地域等と共有する。 <想定する取組例> ・学力・学習状況調査の分析・活用 ・横浜市学力・学習状況調査の学校での活用支援 ・体力向上に向けた科学的・分析的な取組の推進 ・学習の定着に困難を抱える子どもへの学習支援の拡充(「読みのスキル」に関するアセスメントの活用) ・学力・学習状況調査や学校評価等のデータを地域や保護者と共有・議論し学校運営に活かすための支援 ・教職員の働き方改革推進に向けた施策の効果検証 ・教育統計情報のオープンデータ化 〇教育情報の蓄積・共有・活用 ・研究に活かせる図書、資料、教材、指導案等の情報を一元的に収集・管理し、教職員が手軽に検索・閲覧をできるようにすることで、教職員の主体的な研究を支援する。 また、教職員、教育関係者、保護者、市民向けに教育関連情報の提供を行う。 <想定する取組例> ・教育関連図書、指導案、教材、研究紀要等の閲覧・貸出 ・教育研究会の研究冊子・教材・映像・指導案・指導計画等の収集・閲覧 ・国、研究機関、大学、企業等の資料・情報の閲覧・貸出 ・授業改善支援員や指導主事による「授業づくり講座」の実施 ・学級・授業づくりの相談支援 ・オンライン上で教材等を共有・活用できるシステムの活用(教材等共有システム) ・教育関連図書、資料、研究紀要等の検索システム ・タブレット・アプリ等の ICT機器、教材、教具等の企業と連携した展示や試用 ・教科書展示会の実施 〇教科等横断的な教育の推進 ・キャリア教育(自分づくり教育)や SDGs等、地域や社会、自然等と触れ合う豊かな体験を通して探究的な学習を行うためのカリキュラムの作成を行う。 ・学校種や教科等にとらわれない教職員同士の交流を促進するための仕組みづくりを行う。 <想定する取組例> ・はまっ子未来カンパニープロジェクト等の実施によるキャリア教育の推進 ・ ESD推進コンソーシアムの活用 ・社会課題に対して SDGsを意識した学校運営とカリキュラムデザイン ・各教科等の教育研究会の交流・発表会の実施 ・教育研究会の教科等の枠を超えた授業づくり研究の実施 ・各教科等を横断した共同研究の実施 2)人材育成 〇セルフマネジメントに基づいた研修体系の構築 ・教職員による主体的な選択研修を重視し、教職員一人ひとりが人材育成指標に基づき、自分に必要な研修を選択できる仕組みや自分に不足している研修を認識できる仕組みを構築する。 また、実施された研修資料等を教職員が必要な時に活用できるように管理を行う。 <想定する取組例> ・研修受講履歴の蓄積ができる研修受講システムの構築 ・経験年数に応じたキャリアデザイン研修の実施 ・教職員のニーズに応じて選択できる豊富な研修メニューの充実 〇実践的な研修等の推進 ・教職員の資質の向上に資する効果的・効率的な研修を体系的に整備するとともに、新たな人材育成指標やキャリアステージに合わせた研修体系の再構築を行う。 ・多様化する研修ニーズに対応するために、研修を企画する課室が連携し、特別支援教育、いじめ、合理的配慮、児童生徒支援・指導等、学校種や教科等を越えた研修企画を行う。 ・次世代を見据え、 AI等学びの先端技術を活用できる能力の育成を図る。 ・ SSW、カウンセラー、地域協働活動推進員、部活動指導員、学校司書等の子どもの育成に関わるスタッフへの研修の充実を図る。 ・教職員の時間と場所の制限を超えた学びが可能となる ICT環境を整備し、情報提供型研修を eラーニング化で行い、集合研修では対話や体験を充実させて研修効果をさらに高めていく。 ・子ども一人ひとりのニーズに応じた適切な指導・支援を行っていくため、すべての教職員にインクルーシブ教育に対する専門性の向上を図る。 ・無線 LANや録画機器等、 ICT機器を活用した研修スペース等の確保を図る。 <想定する取組例> ・教職員研修の企画・運営(キャリアステージ研修、教科研修、課題研修等) ・メンターチームによる支援 ・キャリアステージ研修の中に特別支援教育に関する研修を組み込む等の研修体系の再構築 ・理科、音楽科、図画工作科、美術科、家庭科、技術・家庭科等実技系教科の実践研修や安全研修 ・プログラミング教育やデジタル教科書等、 ICTを活用した効果的な授業を行うための研修 ・eラーニングシステムやデジタルコンテンツ、サテライト等 ICTを活用した研修の実施 ・学校経営、授業改善、危機管理等を学校に指導・助言する指導主事の資質・能力を高める研修 〇大学、企業等との連携の推進 ・大学や企業、関係機関、民間団体、地域等と連携し、新たな教育センターが連携ネットワークの窓口となり、教職員が学校外の人材とともに学び続け、新たな専門性を身に付ける環境づくりを行う。 <想定する取組例> ・教職員のニーズに合わせた専門家による研修の実施 ・専門性の高い研修講師の情報集約や紹介等を行う人材バンク機能の構築 ・管理職を対象とした企業等研修派遣の実施 ・大学の講義や企業等の実践講座の実施 ・教職志望の大学生、潜在的な教職員志望者はもとより、企業、市民、保護者へ横浜市の教育の魅力を発信 3)教育相談 〇総合的な相談体制の構築 ・教育総合相談センターが担う不登校、友人関係等の一般教育相談及び心理・医療等に関する専門相談、特別支援教育総合センターが担う特別な支援を必要とする子どもへの就学相談や教育相談を新たな教育センターへ統合する。 ・複合的な課題を抱えるケースに対応するため、相談申し込みから支援まで組織的な対応ができる仕組みづくりを行う。 ・相談の専門性を高めることを目的とした育成体制の整備を行い、学校への専門的なアセスメントを行うコンサルテーション機能を強化する。 ・蓄積した相談支援実績や国や他都市における実例に基づく、よりよい支援の在り方や学校に役立つ支援方法等の研究・開発、学校の対応力の向上を目指した研修を行う。 〇相談機能 ・児童生徒・保護者からの不登校やいじめをはじめとする性格・行動・心身の発達・障害・学校生活・家庭生活等の教育に関する相談に対応する。 対応に当たっては、専門職による複合的なアセスメントを行う。 ・オンライン対話による遠隔相談など様々な事情で来所できない児童生徒・保護者への配慮を行う。 <想定する取組例> ・一般教育相談(電話・来所) ・専門相談 ・就学相談 〇学校支援機能 ・教育相談におけるコンサルテーション機能を強化し、学校や学校教育事務所では解決困難な相談に対し、専門的・複合的なアセスメントに基づき対応するとともに、学校支援に当たっては、学校教育事務所とともに支援ツールの提供や担任等への働きかけも行う。 <想定する取組例> ・学校相談 ・要請訪問(コンサルテーション) ・横浜型センター的機能(*5) ・検査器具や車いすや階段昇降機の貸出 〇研究・研修機能 ・相談支援実績をデータベース化し、より効果的な相談のあり方の検討や、支援方法、ツール等の研究開発を行う。 また、教職員対象に児童生徒理解・特別支援教育等の研修を行うとともに、教育のパートナーである保護者向けにも研修を行う。 <想定する取組例> ・相談支援実績に基づく調査研究 ・相談支援効果検証研修(教職員・保護者向け) *5…横浜市立学校に在籍する支援の必要な児童生徒のために、特別支援学校・通級指導教室・地域療育センター等が、障害種ごとの専門性を生かし、学校のニーズに応じて行う学校支援 〇不登校支援機能 ・児童生徒・保護者・教職員からの不登校に関する相談に対応する。 また、保護者を支えるための学習会等を開催するとともに、不登校を支援する民間支援団体と連携し、地域における学習保障や子どもの居場所の確保等に努める。 <想定する取組例> ・ハートフル事業の企画運営 ・民間事業者と連携した不登校支援(ハートフルみなみ、家庭訪問による学習支援) ・特別支援教室等を活用した不登校支援の実施 ・不登校児童生徒への ICTを活用した学習支援の実施 ・保護者の集いの開催 【図】新たな相談機能イメージ図 4)発表・発信 〇児童生徒の学習成果・表現活動の発表 ・児童生徒の学習成果や表現活動の発表・展示を行い、学校間や保護者や地域の方々に子どもの成長と教育の成果を共有する。 <想定する取組例> ・横浜市立学校総合文化祭、音楽発表会、合同学芸会、よこはま国際平和スピーチコンテスト、各学校の合唱コンクール、部活動発表会等 ・図画工作・美術、書写等の作品展示 ・はまっ子未来カンパニーや ESD交流会等、児童生徒の学習発表やイベントの開催 ・SGH(スーパーグローバルハイスクール)、 SSH(スーパーサイエンスハイスクール)等の高校生の研究発表会による学習成果の発信や高校生主催のイベントの実施 ・海外姉妹校との交流の実施 ・各学校での学習成果発表における小中高との連携 ・学校や市民向けのデジタルサイネージやライブ配信等の実施 ・過去の発表のアーカイブ化 〇研究や実践の成果発表 ・教育研究・実践の成果を蓄積し、日々の研究活動や授業実践に生かすとともに、先進的な研究成果を国内外に発信する。 また、大学や企業、 NPO等の活動報告やイベントを実施する。 <想定する取組例> ・各教科等の教育課程研究協議会の開催 ・教育関連図書、指導案、教材、研究紀要等の閲覧・貸出 ・教育研究会の研究冊子・教材・映像・資料の収集・閲覧 ・国、研究機関、大学、企業等の資料・情報の閲覧・貸出 ・各学校や教職員の研究成果を相互に発信・共有できる仕組みづくり ・ユネスコスクール全国大会、 STEAM(*6)教育大会等、国際的なフォーラムの開催 ・全国・関東・県教育研究所連盟主催の研究大会の開催 ・学校の実践や各教科等の研究会の成果の展示 〇教育情報の収集・提供 ・学校や企業等から教育分野における公民連携に関する相談・具体的な提案を受け付け、実現に向けた検討や調整を行う。 <想定する取組例> ・企業や大学等との連携窓口の設置 ・タブレット・アプリ等の ICT機器、教材、文具等の企業展示や試用 ・教科書展示会の実施 ・市民や企業の講座情報等、社会教育関連資料の配架 *6…Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(ものづくり)、 Art(芸術)、 Mathematics(数学)等の各教科での学習を実社会での課題解決に活かしていくための教科横断的な教育。 2.施設コンセプト (1)施設コンセプトと必要諸室の概要 新たな教育センターの位置付けや基本方針、現状の課題と今後の方向性を踏まえ、施設コンセプトを設定する。 コンセプト①多様に転換できるフレキシブルなラボ <必要諸室> 研究・研修エリア 〇研究・研修室 ・研究・開発、研修・人材育成のための多様に転換できるフレキシブルな一般研究・研修室、実技系研究・研修室(備品庫及び準備室含む) ・教育の研究・研修に必要な設備が整備された研究・研修室 ・グループ討議ができるアイランド形式の研修室や交流の場としてのミーティングスペース ・海外の学校や研究機関とディスカッション可能な高速通信環境 〇研究・研修に関する執務室 ・研究及び研修の企画立案・連絡調整を行うための執務室 ○学校教育事務所 ・教育活動、人材育成、学校事務支援、地域連携機能を発揮するための執務室 ・授業改善支援センター(ハマ・アップ) コンセプト②様々な活動で利用可能なホール <必要諸室> ホールエリア 〇ホール ・教育研究大会(全国、関東、県、市)、大規模な研修、総合文化祭、合同学芸会、学校単位の文化祭、合唱コンクール等を行うことができるホール 〇スタジオ ・ライブ配信及びデジタルコンテンツや映像アーカイブ等を作成するための空間、設備 コンセプト③教育相談の総合拠点 <必要諸室> 教育相談エリア 〇相談に必要な諸室 ・相談室・検査室、プレイルームの他、一般教育相談、専門相談及び就学・教育相談に必要となる諸室 〇事務室及びカンファレンスルーム ・ケース会議を行ったり、保護者及び民間支援団体と連携したりするための諸室 〇研究・研修室 ・教育相談に関する研究や研修を行うための研究・研修室 コンセプト④交流と連携を促進するラウンジ <必要諸室> コミュニケーションエリア 〇コミュニケーションラウンジ ・市内全校の代表者の作品が展示できる規模のフレキシブルなスペース ・子どもの学習発表や小規模なイベントが開催できるスペース ・教職員同士が交流を図るためのスペース ・企業や大学等と連携・協働を図るためのスペース ・市民にも広く開放され、交流を図ることができるスペース ・グループでも個人でも作業できるスペース 〇社会教育を支援するためのスペース (2)必要となる共用・付帯施設等 前述した諸室以外に必要となる共用・付帯施設は以下の通りである。 運営・管理室 〇運営・管理室の事務室 〇受付カウンター(全館共通受付カウンター) 〇資料等の倉庫(施設全体で共用化) 共用施設 〇エントランス、廊下、階段、エレベーター・エスカレーター等 〇便所、給湯室等 〇機械室、設備スペース、共用倉庫等 〇駐車場、駐輪場 3.教育センターの施設規模の想定 (1)研究・研修エリア 1)研究・研修室 ア現況 〇現在利用している施設の面積 現在、主に利用している横浜花咲ビルの研修室は床面積 1,636㎡、特別支援教育総合センターの研修室は床面積 401㎡である。 実技系研究・研修室については、旧教育文化センターの閉館とともに専用の施設が廃止された。 旧教育文化センターの音楽室、美術室、物理室、化学室の合計床面積は約 725㎡である。 【表】研究・研修室の面積 【表】実技系研究・研修室の面積(旧教育文化センター) 〇稼働率 平成 30(2018)年度実態調査より、新たな教育センターの研究・研修室を利用すると想定される活動の開催日数は329日であり、新たな教育センターの開館日を、年末年始を除く359日と仮定すると、稼働率(1つ以上の研修室が利用されている日にちの割合)は 91.6%となる。 また、研究・研修室を利用すると想定される活動 3,119回のうち、実技系研究・研修室を利用すると想定される活動数の割合は、音楽が15回(0.5%)、家庭科が6回(0.2%)、図画工作・美術が8回(0.3%)、理科が23回(0.7%)であり、計52回(1.7%)となっている。 イ 研究・研修室の面積の設定 研究・研修室を利用すると想定される活動日のうち、全ての参加者を収容することができる日を7割以上とすることとする。 平成 30( 2018)年度実態調査より、1日にあたりの参加人数の合計が 1,000人以下の活動日数が、全活動日数の約 76%を占めている。 従って、研究・研修室全体で 1,000人程度を収容することとし、全体の専用面積を 2,000㎡とする。 さらに、廊下等の共用面積を 200㎡とし、研究・研修室の面積を 2,200㎡と計画する。 【表】合計参加人数の区分別にみた活動日数(平成 30(2018)年度実態調査より) ≪研究・研修室の構成例≫ 収容人数約 170人(340㎡)の一般研究・研修室を3室設置し、組み合わせて利用できる仕様とすることで 340人(680㎡)または 510人(1,020㎡)での利用を可能とする。 収容人数約 32人(64㎡)の一般研究・研修室を 10室設置し、組み合わせて利用できる仕様とすることで 64人(128㎡)または 128人(256㎡)での利用を可能とする。 実技系研究・研修室については、これまでの活動実績や特別教室を必要とする教科研究会へのヒアリング調査を踏まえ、理科、図画工作科、美術科、家庭科、技術・家庭科で利用できる実技系研究・研修室を2部屋配置し、一般研究・研修室に転用可能な仕様とする。 面積は、学校の特別教室を整備する際の基準と同等の 1.5クラス分の広さである 96㎡とする。 また、32㎡の準備室を3部屋配置する。 音楽の研究・研修室、準備室、練習室はホールの練習室と兼用することとする。 【図】研究・研修室の配置イメージ 2)研究・研修に関する執務室 ア 現況 〇現在利用している施設の面積 横浜花咲ビル2階に入居している教職員育成課の執務室は延床面積 368㎡、 VORT横浜関内Ⅲ6階に入居している小中学校企画課情報教育担当の執務室(研修室含む)は床面積 268㎡である。 【表】執務室の面積 イ 執務室の面積の設定 新たな教育センターの研究・研修に関する職員数は 69人と想定する。 「平成 22年度地方債同意等基準運用要綱(総務省)」(■参考資料(2)参照)より事務室面積は 513㎡と算定される(職員1人当たり約 7.9㎡となる)。 書庫倉庫等の面積は 66.7㎡(事務室面積の 13%相当)、及び会議室面積は 138㎡(職員1人当たり2㎡)と算定され、合計で 717.7㎡となり、執務室面積を 720㎡と計画する。 【表】現況職員数(教職員育成課、小中学校企画課情報教育担当、こども青少年局保育・教育人材課) 【表】執務室面積の算定 【図】少人数研修のイメージ図 3)学校教育事務所 ア 現況 〇現在利用している施設の面積 横浜花咲ビル4階に入居している学校教育事務所は床面積 666㎡、授業改善支援センター(ハマ・アップ)は床面積 336㎡である。 【表】学校教育事務所・授業改善支援センター(ハマ・アップ)の面積 イ 学校教育事務所の面積の設定 新たな教育センターの学校教育事務所に関する職員数は 55人と想定する。 「平成 22年度地方債同意等基準運用要綱(総務省)」より事務室面積は 454.5㎡と算定される(職員1人当たり約 8.3㎡となる)。 書庫倉庫等の面積は 59.1㎡(事務室面積の 13%相当)、及び会議室面積は 110㎡(職員1人当たり2㎡)と算定され、合計で 623.6㎡となり、執務室面積を 630㎡と計画する。 また、東部授業改善支援センター(ハマ・アップ)として現状と同等の 300㎡を確保する。 【表】現況職員数(学校教育事務所) 部長、次長級…1人 課長級…4人 課長補佐級、係長級…19人 一般職員…31人 合計55人 ※職員数は令和元(2019)年10月時点 ※首席指導主事は課長級、指導主事は係長級に含む ※一般職員には嘱託及びアルバイトを含む 【表】学校教育事務所の執務室面積の算定 (2)ホールエリア 1)ホール及びスタジオ ア 現況 旧教育文化センターの閉館とともに専用の施設は廃止され、市内外のホール施設を利用して活動が開催されている。 以下では、平成 30(2018)年度実態調査より、ホールの使われ方をみる。 〇現在利用している施設 ホールを利用すると想定される活動で現在利用している施設は、公会堂:210回(42.9%)、公会堂以外の市内施設:106回(21.6%)、学校:93回(19.0%)、市外施設:52回(10.6%)、花咲研修施設:23回(4.7%)、その他:6回(1.2%)となっている。 〇活動内容 ホールを利用すると想定される活動は、成果発表が 312回(63.7%)、教育研究会が 82回(16.7%)、研修が 71回(14.5%)、その他会議等が 25回(5.1%)であり、合計 490回となっている。 〇利用人数 ホールを利用すると想定される活動で、参加人数が正確に把握できている活動 454回のうち、500人以下の活動は 182回(40.1%)、501人以上 1,000人以下の活動は 207回(45.5%)、1,001人以上の活動は 65回(14.3%)となっている。 なお、901人以上 1,000人以下の活動は 63回と全体の 13.9%を占めている。 市外施設を利用している活動のうち、参加人数が 501人以上の活動が8割を超え、901人以上の活動も6割を超えている。 参加人数の多い児童生徒の発表の活動において市外施設を利用していることが分かる。 〇稼働率 ホールを利用すると想定される何らかの活動がある日数は 167日である。 新たな教育センターの開館日を、年末年始を除く 359日と仮定すると、稼働率は 46.5%となる。 ただし、このうち1回の活動のみ開催されている日数は 78日(46.7%)であり、1日2回以上の活動が開催されている日数は 89日となっており、同じホールでは対応できない活動数は 314回となっている。 イ ホールの面積の設定 横浜市には 510校の学校があるため、各学校から2名ずつ参加する研修や研究の場合、1,020人収容のホールが必要となる。 さらに、保護者や地域の方々も交えた児童生徒の発表等の規模を勘案し 1,000人規模のホールを想定し、床面積を 2,000㎡と計画する。 なお、この 2,000㎡にはライブ配信の実施及びデジタルコンテンツや映像アーカイブ等を作成するためのスタジオ、音楽の研究・研修室、準備室、リハーサル室を含む。 【表】【図】【参考:平成29(2017)年度の活動実績にみるホールを利用すると想定される活動内容】 【表】【図】【参考:平成29(2017)年度の活動実績にみるホールを利用すると想定される活動の利用人数】 【参考:市立学校の児童生徒数】 横浜市立小学校、横浜市立中学校、横浜市立義務教育学校、横浜市立高等学校、横浜市立特別支援学校の児童生徒数の平均は 522人である。 【表】学校種別の学校数と児童生徒数 【図】1000席ホールのプランイメージ 【表】ホール参考面積表 客席・舞台…1,100㎡ リハーサル室、音楽研修室、スタジオ、準備室、楽屋、倉庫、ピアノ庫…300㎡ トイレ、ホワイエ、廊下、階段、EV、機械室等…600㎡ 合計床面積…2,000㎡ 【図】ホールのイメージ (3)教育相談エリア 1)教育相談に関する諸室 ア 現況面積 教育総合相談センターは関内 STビル及び関内山本ビルに入居しており、利用している床面積はそれぞれ 142㎡、197㎡である。 人権教育・児童生徒課の事務室は関内駅前第一ビルにあり、床面積は 223㎡である。 特別支援教育総合センターの延床面積は 4,381㎡である。 【表】教育総合相談センターと特別支援教育総合センターの面積 イ 教育相談の面積の設定 現在の教育総合相談センター及び特別支援教育総合センターの現状や各諸室の使い方等を考慮し、教育相談の面積を 2,450㎡と計画する。 【表】教育相談の面積内訳 【参考:教育相談の執務室の面積】 新たな教育センターの教育相談に関する職員数は 85人と想定する。 「平成 22年度地方債同意等基準運用要綱(総務省)」より事務室面積は 490.5㎡と算定される(職員1人当たり約 5.8㎡となる)。 書庫倉庫等の面積は 63.8㎡(事務室面積の 13%相当)、及び会議室面積は 170㎡(職員1人当たり2㎡)と算定され、合計で 724.3㎡となり、執務室面積を 730㎡と計画する。 【表】現況職員数(人権教育・児童生徒課及び特別支援教育相談課) 【表】執務室面積の算定(教育相談) 【図】教育相談の機能配置イメージ図 (4)コミュニケーションエリア 1)コミュニケーションラウンジ ア 現況 〇面積 現在、子どもたちの作品展示は主に市民ギャラリー(西区宮崎町、展示スペース 1,146㎡)を利用している。 なお、市民ギャラリーでは、市内全校の代表者の作品の展示のみ行っており、旧教育文化センターの市民ギャラリーに比べて子どもたちの作品を限定して展示せざるを得ず、発表の機会が限られた状況になっている。 【表】市民ギャラリーの面積 市民ギャラリー(※展示スペースのみ)…延床面積1,146㎡ 〇稼働率 平成 30(2018)年度実態調査より、展示室を利用すると想定される活動は 72日あり、新たな教育センターの開館日を年末年始を除く 359日と仮定すると、稼働率は 20.1%となる。 イ コミュニケーションラウンジの面積の設定 子どもたちの作品展示や学習発表に加え、小規模なイベント、教職員や地域・企業・大学等の交流スペース等として、現在の市民ギャラリーの展示スペースと同等の面積である 1,000㎡をコミュニケーションスペースとして確保する。 さらに、社会教育を支援するためのスペースとして 100㎡を確保する。 以上より、コミュニケーションラウンジ全体で、1,100㎡と計画する。 【図】コミュニケーションラウンジのプランイメージ 【図】コミュニケーションラウンジのイメージ(イベントがない時) 【図】コミュニケーションラウンジのイメージ(展示イベント時) (5)管理・運営室 新たな教育センターの管理・運営室に関する職員数は 11人と想定する。 「平成 22年度地方債同意等基準運用要綱(総務省)」より事務室面積は 153㎡と算定される(職員1人当たり約 13.9㎡となる)。 書庫倉庫等の面積は 19.9㎡(事務室面積の 13%相当)、及び会議室面積は 22㎡(職員1人当たり2㎡)と算定され、合計で 194.9㎡となり、執務室面積を 200㎡と計画する。 【表】管理・運営室の職員数 職員数(想定) 部長、次長級…1人 課長級…2人 課長補佐級、係長級…4人 一般職員…4人 合計11人 ※職員数は令和元年10月時点 ※首席指導主事は課長級、指導主事は係長級に含む ※一般職員には嘱託及びアルバイトを含む 【表】管理・運営室の算定(教育相談) (6)新たな教育センターの必要諸室 【表】1)諸室と内容と面積 (1)研究・研修エリア 〇研究・研修室 ・調査・研究・開発、人材育成のための多様に転換できるフレキシブルな一般研究・研修室、実技系研究・研修室(備品庫及び準備室含む) ・教育の研究・研修に必要な設備が整備された研究・研修室 ・教育の研究・研修に必要な情報を一元的に収集・管理 ・グループ討議ができるアイランド形式の研修室や交流の場としてのミーティングスペース (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・1室で30 人~500 人収容可能な室を複数設置し、稼働間仕切等で分割または連結して利用可能な一般研究・研究室 ・座学時の集中力を高め、活発なグループワークの実施に適した室内環境・ICT 環境・什器が整備された研究・研修室 ・水回りや火気使用等特殊な設備を共有し、一般研究・研究室としても可能な部屋 ・模擬授業ができる設え ・無線LAN や録画機器等、ICT 機器を活用できる設え ・教育図書、教材、指導案等の情報を一元的に収集・管理できる設え ・海外の学校や研究機関とディスカッション可能な高速通信環境 (想定床面積) ・2,200 ㎡ 〇研究・研修に関する執務室 ・研究及び研修の企画立案・連絡調整を行うための執務室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・職員数に合わせた事務室 (想定床面積) ・ 720 ㎡ 〇学校教育事務所 ・教育活動、人材育成、学校事務支援、地域連携機能を発揮するための執務室 ・授業改善支援センター(ハマ・アップ) (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・職員数に合わせた事務室 ・書庫、貸出カウンター、閲覧スペース、相談スペース (想定床面積) ・ 930 ㎡ (2)ホールエリア 〇ホール ・教育研究大会(国際、全国、関東、県、市)、大規模な研修、総合文化祭、合同学芸会、学校単位の文化祭、合唱コンクール等を行うことができるホール (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・客席、舞台、ホワイエを備えた収容人数1,000人程のホール ・楽屋、倉庫、リハーサル室 ・車いす席の十分な確保やストレッチャー等の合理的な配慮 〇スタジオ ・ライブ配信の実施及びデジタルコンテンツや映像アーカイブ等を作成するための空間、設備 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・スタジオ、機材倉庫 (想定床面積) ・ホールとスタジオ合わせて2,000 ㎡ (3)教育相談エリア ○相談室・検査室 ・一般教育相談・専門相談及び就学・教育相談のための相談室及び検査室、不登校相談のための相談室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・相談室、検査室は、2室で1対とし、それぞれ12 ㎡程度 ・一般教育相談、専門相談及び就学・教育談で共用 ○プレイルーム ・専門相談、就学・教育相談の際に利用する、子どもの集団への適応等をみるための部屋 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・専門相談、就学・教育相談それぞれ専用のプレイルーム ○研究・研修室 ・教育相談に関する研究や研修を行うための研究・研修室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・研究・研修室は、調査・研究・開発及び人材育成と共用 (研究・研修エリアを使用) ○一般教育相談・専門相談、電話相談のための諸室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・電話相談ブース、診察室、夜間職員仮眠室等 ○就学・教育相談のための諸室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・観察室、評価訓練室、作業能力検査室、職業適性検査室等 ○教育相談に関する執務室 ・教育相談に関する執務や特別支援に関する研究・研修の企画立案・連絡調整、不登校支援事業の企画運営のための執務室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・職員数に合わせた事務室 ・特別支援教育相談課と人権教育・児童生徒課で共用 ・医師用の医務室も設置 ○カンファレンスルーム ・ケース会議を行ったり、保護者及び民間支援団体と連携したりするための諸室 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・収容人数20 人程の会議室 ○その他(教育相談の共用部分) ・入口、窓口、待合室 ・教育相談のカルテ等の資料を保存するための資料室 ・トイレ (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・相談者のプライバシーに配慮した入口、待合室 ・いじめ、不登校、就学相談等の教育相談に包括的に対応する窓口 ・執務室の近くに資料室 ・子ども用、車いす対応のトイレ (想定床面積) ・教育相談エリア合計2,450 ㎡ (4)コミュニケー ションエリア 〇コミュニケーションラウンジ ・市内全校の代表者の作品が展示できる規模のフレキシブルなスペース ・子どもの学習発表や小規模なイベントが開催できるスペース ・教職員が交流を図るためのスペース ・企業や大学等と連携・協働を図るためのスペース ・市民にも広く開放され、交流を図ることができるスペース (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・研究・研修室や交流スペースとしても利用可能なオープンな雰囲気の空間 ・複数の活動に同時に利用できるように稼働間仕切りを配置 ・展示・発表用の設備(荷捌き口やエレベーター、ピクチャーレール、ストックヤード、照明、音響、映像、天井高等) 〇社会教育を支援するためのスペース ・事務室等 (想定床面積) ・コミュニケーションエリア合計1,100 ㎡ (5)管理・運営室 ・施設の総合受付、案内、入退館管理等 ・施設機能の総合調整、施設利用予約及び調整等 ・共用備品等の保管、維持管理 (必要諸室が擁する機能等具体的なイメージ) ・受付カウンター(施設全体で共用化) ・管理部門事務室(施設全体で共用化) ・資料等の倉庫(施設全体で共用化) (想定床面積) ・200 ㎡ 以上、専用面積合計 9,600 ㎡ 共用施設 ・エントランス、廊下、階段、エレベーター・エスカレーター等 ・便所、給湯室等 ・機械室、設備スペース、DS・PS(ダクトスペース、パイプスペース) ・駐車場、駐輪場 (想定床面積) 2,400 ㎡ (※1) 合計(※2) 12,000 ㎡ ※1 専用面積合計の25%相当とする。 ※2 単独施設として必要な面積。ただし駐車場面積は含まない。 【図】2)新たな教育センターの施設構成イメージ 4.運営体制の考え方 企業や大学、関係機関等、教育に関わる多様な人材が連携と交流を図りながら、調査・研究・開発を中心とした教育センターの運営を実施するためには、新たな組織体制や運営の仕組みが必要となる。 ①運営体制 ・調査・研究・開発を中心とした教育センターの各機能を効果的に発揮していくため、学校教育に関する調査研究、教育課程等の編成等の支援、教職員の研修の企画・実施、教科等の研修等を行う部署から人材を集約して、教育センターの総合調整を行う部署の立ち上げを検討し、関係部署や教育研究会を集めて調査・研究・開発、研修の企画立案、連絡調整等の各機能を超えた横断的な総合調整を行う。 また、学校や企業等から教育分野における公民連携に関する相談・具体的な提案を受け付け、実現に向けた検討や調整を行う。 ・教育相談機能は、人権教育・児童生徒課、特別支援教育相談課から人材を集約し、設置する。 ・教育センター所長は、教育センターが取り組む先駆的な調査・研究・開発や実践的な研修といった様々な機能全体を統括する役割を担うものと位置付け、設置を検討する。 ・施設の維持管理業務については民間事業者等を導入し、庁内の人材が教育センターにて教育研究活動に専念できる環境を整える。 また、最先端の ICT環境を整えることができる人材を配置することが望ましい。 ②外部人材の活用 ・教職員の調査・研究・開発や相談については、地域の企業や市民(経験豊富な高齢者)との連携や交流により実施できる可能性があり、さらに教職員 OBが自由に楽しく参加できる仕組みをつくることで、より効果が高まることが考えられる。 ・教育センターの取組内容に対して、専門的な見地から助言・評価・検証の意見をいただく大学教授等で構成する外部有識者会議を設置する。 ③民間事業者等の活用 ・施設点検、メンテナンス、研究・研修室やホールの利用調整、ホールの機材・ライブ配信等の施設維持管理業務については、民間事業者等の導入により実施する。 【図】(運営体制のイメージ) ④開館時間 ・現行の教育センター機能関連施設の開館時間等を勘案し、開館時間は9時~21時と想定する。 年末年始や施設点検日は休館日とする。 ・研修用途としては 17時までの利用を想定し、自主的な研究活動等については施設管理業務受託者による管理の下で 17時以降の施設利用も可能とする。 【表】【参考】現状の教育センター機能関連施設の開館時間・休館日 ⑤新たな教育センターと相乗効果を発揮できる民間施設の例 今後の事業手法の検討により、新たな教育センターが 12,000㎡を超える民間ビル等の一角に設置される可能性がある。 その場合には、余剰容積に民間等が運営する教育研究機関や生涯学習関係、飲食・物販施設が配置されると、教育センターの事業と相乗効果を発揮し、教育拠点としての価値や利用者にとっての利便性が高まると期待される。 テナント(例) 〇教育研究機関 ・大学等のエクステンションセンター 等 〇子どもの学習関係 ・体験型英語学習施設 ・子どもの体験施設 等 〇生涯学習関係 ・フィットネスクラブ ・英会話スクール ・海外留学支援事業団体 等 〇飲食・物販 ・レストラン、喫茶店 ・ブックカフェ ・コンビニエンスストア 等 5.立地場所について 新たな教育センターは、市内全域の学校等から教職員が集まりやすく、かつ産官学との連携が図りやすい場所に設置することが必要である。 ①立地場所検討の視点 教育センターの利用者や現状の利用状況をふまえて立地場所の検討の視点について以下に整理する。 ・市内をはじめ東京や首都圏の企業や大学、他都市等、教育に関わる様々な立場の人々がアクセスしやすい場所にあることで、クリエイティブな教育空間の創出が可能となる。 ・管理職や教職員が授業や多忙な学校業務をやりくりして研修等に出席する実態を踏まえる必要がある。 管理職や教職員が午前中の研修等を終えて午後の業務や授業に間に合うよう学校に到着できる、または午後の業務や授業を終えて、研修等の開始時刻までに教育センターに到着できる、さらに夜間の講座・研究活動終了後、急ぎ帰路につくことが可能な場所であることが必要である。 ・研修や教育研究会のほかにも、教育相談部門との調整や自主的な学び、情報交換等を目的として、教職員が高い頻度で日常的に利用する施設である。 ・現在も研修や教育研究会等の開催のため、市内の交通至便な場所を借り上げて実施している。 (健康福祉総合センター、技能文化会館、横浜市教育会館、開港記念会館、関内ホール(地下1階:青少年育成センター含む)等) ②立地場所の条件の基本的な考え方 上記視点より、立地場所に求められる条件の基本的な考え方を示す。 ・約 12,000㎡の延床面積の規模の教育センターの建物が整備できる土地 ・市内全域の学校等から教職員が集まりやすい交通至便な場所 ・駅から徒歩圏内、かつ複数路線が利用可能な場所 ・企業、大学、関係機関等との産官学連携が図りやすい場所 6.教育センターの施設計画留意点 新たな教育センターの施設計画では、関連法規を遵守し、関連部局等との事前協議を行い、計画内容を作成することが重要となる。 作成された施設計画に基づき、事業スケジュールの作成や運営方法及び事業手法の検討を行い、事業費の概算を算出することとなる。 本項では、「3.教育センターの施設規模の想定」での検討をもとに作成した参考プランを参照しながら、必要となる前提条件や法的要件等を整理し、施設計画の検討を進めるための留意点を整理する。 (1)参考プラン 【図】教育センターの施設イメージ (2)建築基準法上の用途と床面積 横浜市の新たな教育センターは、教育相談センター、学校教育事務所及び執務室等の事務室を中心とした部分(市役所、事務所)と、研究・研修室及びホール・コミュニケーションラウンジ等の集会を中心とした部分(公会堂又は集会場)の複合施設である。 ※()内は建築基準法の用途区分を示す。 ア 市役所、事務所の用途:4,300㎡ ・教育相談(2,450㎡) ・学校教育事務所(930㎡) ・研究・研修執務室(720㎡) ・運営・管理室(200㎡) イ 公会堂又は集会場:5,300㎡ ・研究・研修室(2,200㎡) ・ホール(2,000㎡) ・コミュニケーションラウンジ(1,100㎡) ウ 共用面積:2,400㎡ ウを上記ア及びイの面積に応じて按分し、各用途の付帯部分として振り分け、ア及びイの床面積を算定する。 アの付帯部分:2,400㎡×4,300㎡/9,600㎡=1,075㎡ イの付帯部分:2,400㎡-1,075㎡=1,325㎡ 各用途の床面積 アの床面積:4,300㎡+1,075㎡=5,375㎡ イの床面積:5,300㎡+1,325㎡=6,625㎡ 【表】新たな教育センター基本構想における面積表 (3)建築関連法規上の留意点 1)建物用途と用途地域 ①用途別面積の整理 ・事務所、市役所の用途: 5,375㎡ ・公会堂又は集会場の用途:6,625㎡ ②用途制限 6,625㎡の・公会堂又は集会場の用途を含む複合施設であり、建築基準法の用途規制(※)では、近隣商業地域、商業地域及び準工業地域の用地地域で建築が可能となる。 2)必要な接道要件 ①建築基準法による接道要件 建築基準法第 43条第1項において、建築物の敷地は建築基準法第 42項で定める道路に2m以上接しなければならい。 また建築基準法第 43条第3項では地方公共団体が付加的制限を条例で定めることができると規定されており、横浜市では「横浜市建築基準条例」にて接道要件に関する付加的制限が規定されている。 ・建築基準法第 43条第3項 地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する建築物について、その用途、規模又は位置の特殊性により、第一項の規定によっては避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。 一 特殊建築物 二 階数が三以上である建築物 三 政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物 四 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合にあっては、その延べ面積の合計。次号、第四節、第七節及び別表第三において同じ。)が千平方メートルを超える建築物 五 その敷地が袋路状道路(その一端のみが他の道路に接続したものをいう。)にのみ接する建築物で、延べ面積が百五十平方メートルを超えるもの(一戸建ての住宅を除く。) 〇留意点 新たな教育センターは、建築基準法第2条第2項の特殊建築物(劇場、集会室)であり、延べ床面積が 1,000㎡を超える建物となる。 また参考プランでは7階建てであり、階数が3以上の建築物であるため、横浜市の建築基準条例にて、敷地が接しなければならない道路の幅員、敷地が道路に接する部分の長さ、その他敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限が付加されている。 ②横浜市建築基準条例による接道要件 横浜市建築基準条例の第2章特殊建築物等第2節通則4条の2、及び第5節興行場公会堂及び集会場の第 29~32条にて規定されている。 ・第4条の2【階数が3以上である建築物及び大規模建築物の敷地と道路との関係】 第2項 延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計をいう。)が 1,000平方メートルを超える建築物の敷地は、幅員6メートル以上の道路に1箇所で6メートル以上接し、かつ、その接する部分に主要な出入口を設けたものでなければならない。 ・第 29条【敷地と道路との関係】 第1項 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場(以下「興行場」という。)、公会堂又は集会場(興行場又は公会堂の用途に供しない建築物にあっては、 床面積が 200平方メートルを超える集会室を有するもの又は集会室の床面積の合計が 1,000平方メートルを超えるものに限る。)の用途に供する建築物の敷地は、その客席又は集会室(以下「客席等」という。)の床面積の合計に応じて、 次の表に掲げる幅員の道路(法第 42条第1項第1号、第3号若しくは第4号に該当する道路又は同項第2号若しくは第5号に該当する道路のうち同条第2項若しくは第3項の規定により指定された道路を経由しないで同条第1項第1号、第3号若しくは第4号に該当する道路に至る道路に限る。以下この条において同じ。)に1箇所で同表に掲げる道路の幅員の2倍の長さ(敷地の外周の長さの7分の1以上接する場合においては、その長さ)で接し、かつ、その接する部分に主要な出入口を設けたものでなければならない。 【表】客席等の床面積の合計 客席等の床面積の合計100平方メートルを超え200平方メートル以下のもの…道路の幅員4メートル以上 客席等の床面積の合計200平方メートルを超え 300平方メートル以下のもの…道路の幅員6メートル以上 客席等の床面積の合計300平方メートルを超え 600平方メートル以下のもの…道路の幅員8メートル以上 客席等の床面積の合計600平方メートルを超えるもの…道路の幅員11メートル以上 第2項 前項に掲げる用途に供する建築物の敷地が、客席等の床面積の合計に応じて、次の表に掲げる幅員の2以上の道路にそれぞれ1箇所で同表に掲げる道路の幅員の2倍の長さで接する場合で、その接する部分にそれぞれ出入口(一の道路にあっては、主要な出入口)を設け、かつ、その建築物の客用の出口がそれぞれの道路に面するときは、同項の規定は、適用しない。 【表】客席等の床面積の合計 客席等の床面積の合計200平方メートルを超え 300平方メートル以下のもの 道路の幅員 一の道路…5メートル以上 道路の幅員 他の道路…4メートル以上 客席等の床面積の合計300平方メートルを超え 600平方メートル以下のもの 道路の幅員 一の道路…6メートル以上 道路の幅員 他の道路…4メートル以上 客席等の床面積の合計600平方メートルを超えるもの 道路の幅員 一の道路…8メートル以上 道路の幅員 他の道路…4メートル以上 〇留意点 新たな教育センターの研究・研修室は、1室が 200㎡以上のものが複数あり、研究・研修室の合計は 2,000㎡である。 またホールの客席(1,000席)の面積は 600㎡を超えると予想されるため、接する道路が1箇所の場合は幅員 11mの道路に 22m以上接することが必要であり、道路が2箇所以上の場合は、1箇所は幅員8mの道路に 16m以上接し、1箇所は幅員4mの道路に8m以上接する必要がある。 道路が2箇所以上の場合は、出入口も接する道路毎に設ける必要がある。 (4)計画の留意点について 候補地の敷地面積や建蔽率の基準により、建物の階数は異なるため、機能配置は敷地によって異なるが、基本的な考え方は施設コンセプト及び以下の項目に留意し、合理的な施設計画を行うことが必要となる。 1)階数、構造(耐震性能)、避難、居室、高さ等の考え方について ・階数 建築面積により階数が異なる。 建築面積は敷地面積と基準建蔽率により最大面積が規制される。 ・構造 教育センターは、国の定める官庁施設の総合耐震診断・改修基準(平成8年版)における「耐震安全性の目標及び分類の一覧」(■参考資料(3)参照)にて、対象施設(7)または(8)に分類され、構造体の耐震安全性の目標はⅡ類(※1)となる。 ※1:大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて機能確保が図られるものとする。 ・避難 横浜市建築基準条例第5節興行場、公会堂及び集会場、第 38条(直通階段)にて避難階又は地上に通ずる直通階段の幅員が定められている。 また、集会室等から階段に至る廊下の幅員や構造等が規定されており、建物の入り口には全面空地を設ける必要がある。 【客席面積と必要階段幅員の参考例】 〇6階(ホール階):一席当たり 0.5㎡として1つの階で 1,000人収容する場合、客席面積は 500㎡となる。 固定席の場合 10席当り8cmの階段幅員が必要であるため、1,000人収容の場合は階段幅員は8m必要となる。 〇4、5階は客席はない 〇3階(研究・研修室):64㎡及び 96㎡の会議室があり、その合計が 1,000㎡以下であるため、建築基準条例 29条第1項の規定により、同 38条の興行場、公会堂又は集会場の用途には該当しない。 〇2階(研究・研修室):200㎡を超える会議室があり、その合計を約 1,150㎡とした場合、10㎡につき17cmの幅員の階段が必要となり、2階から1階への階段幅員の合計は 19.55m必要となる。 ⇒階段1基当たりの幅員を2mとした場合2階から6階には4基の階段が必要となる。 1階~2階には10基の階段が必要となる。 2階までは4基の階段が必要で、2階から1階には6基(※2)増やす必要がある。 ※2:ダブル階段とすることで、平面上は3基増設と同じ建築面積で6基分の幅員設置が可能となる。また外階段をダブル階段として必要幅員を増やすことで容積対象面積は増えない。 【図】【参考】ダブル階段とは 横浜市建築基準条例における階段の幅員、構造等 ・第 38条【直通階段】 第1項 興行場、公会堂又は集会場の用途に供する建築物の避難階又は地上に通ずる直通階段の各階における幅の合計は、その直上階以上の階(地階にあっては、当該階以下の階)のうち客席等の床面積の合計が最大の階における客席等の床面積 10平方メートルにつき 17センチメートルの割合で計算した数値(いす席が床に固定されている客席等にあっては、客席等のいす席の席数 10席につき8センチメートルの割合で計算した数値)の合計以上としなければならない。 ただし、当該建築物に興行場、公会堂又は集会場以外の用途に供する部分がある場合においては、その直通階段の各階における幅の合計は、それぞれの用途に供する部分について必要とされる幅の合計の和以上としなければならない。 第2項 前項の直通階段のうち2以上の直通階段は、客席等の各部分からの歩行距離が 60メートル以下となる位置に設けなければならない。 第3項 客席等の各部分から前項の直通階段に至る歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときは、その重複区間の長さは、それぞれの歩行距離の数値の2分の1以下としなければならない。 第4項 第1項の直通階段のうち2以上の直通階段は、令第 122条の規定により特別避難階段としなければならない場合を除き、令第 123条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。 ただし、主階を避難階に設けた興行場、公会堂又は集会場の直通階段にあっては、この限りでない。 (平5条例 43・全改) 2)附置義務施設等について ①駐車場の附置義務 横浜市駐車場条例にもとづく必要駐車場台数の計算例を示す。 附置義務台数は施設を設置する場所、建物の用途とその規模によって異なる。 ・設置場所 設置場所は、大きく「駐車場地区又は商業地域若しくは近隣商業地域」と「周辺地区又は自動車ふくそう地区」の2つの地区に分けられる。 ・建物の用途 建物用途は特定用途とそれ以外の非特定用途の2つに分類される。 ・建物の規模 附置義務の対象となる建物は、「駐車場地区又は商業地域若しくは近隣商業地域」では特定用途と非特定用途の面積の半分の合計が 1,000㎡を超える建物、「周辺地区又は自動車ふくそう地区」では特定用途の面積が2,000㎡を超える建物となる。 ・附置義務台数の算定例 例えば、関内駅周辺の商業地域で、新たな教育センターに必要となる駐車場台数は以下のように算定される。 〇特定用途の面積:ホール:2,000㎡、集会場:2,200㎡、コミュニケーションラウンジ:1,100㎡、事務所:4,300㎡、共用面積:2,400㎡⇒12,000㎡。非特定用途はなし。 〇「駐車場地区又は商業地域若しくは近隣商業地域」 〇附置義務台数の計算:12,000㎡÷250㎡/台=48台 横浜市駐車場条例の概要(抜粋) 1乗用車(※1)駐車場の附置義務について (1)対象となる建築物 下表①に掲げる地区又は地域内において、 ②に掲げる面積が、 ③に掲げる面積を超える場合に対象となります。 また、共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿については、横浜市建築基準条例により乗用車の駐車場設置を義務付けていますので、横浜市駐車場条例の対象外です(荷さばき駐車場、自動二輪車駐車場についても同様です)。 【表】 ①駐車場整備地区(※2)又は商業地域若しくは近隣商業地域 ②特定用途に供する部分の床面積(※4)+(非特定用途(※5)に供する部分の床面積)×0.5 ③1,000㎡ ①周辺地区又は自動車ふくそう地区(※3) 市域の1中高、2中高、1住、2住、準住、準工業、工業、工専の各用途地域(1低専、2低専と調整区域は含まれません。) ②特定用途に供する部分の床面積 ③2,000㎡ ※1乗用車・・・ここでいう乗用車とは、おおむね幅2.3m×奥行5mに収まる二輪車を除く自動車を指します。 ※2駐車場整備地区・・・自動車交通が著しくふくそうする地区として、駐車場法第3条第1項及び都市計画法第8条第1項に基づき、都市計画決定している地区。現在、市内6箇所 ※3周辺地区又はふくそう地区…自動車交通がふくそうする地区及びふくそうすることが予想される地区として、横浜市駐車場条例第3条第1項及び第2項に基づき、市内の第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域として定められている地域で、告示(平成..14年4月5日第..125号)により指定している地区 ※4部分の床面積・・駐車場・駐輪場の用途に供する部分を除き、観覧場にあっては屋外観覧席の面積も含みます。 ※5非特定用途・・・・特定用途以外の用途で、共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿舎は除きます。 (2)附置義務台数の算定方法 下表④に掲げる用途の部分の床面積を、 ⑤に掲げる面積で除して得た台数を合計した数値の台数以上とします(小数点以下切上げ)。 また、延べ面積6,000平方メートル未満又は一部の用途で床面積10,000平方メートルを超える場合は、緩和や逓減の措置があります(荷さばき駐車場、自動二輪車駐車場についても同様です)。 乗用車駐車場の駐車ますの大きさについては、幅23メートル、奥行5メートル以上とします。 ④(特定用途)百貨店その他の店舗…⑤駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域…200㎡、⑤周辺地区又は自動車ふくそう地区…200㎡ ④(特定用途)事務所…⑤駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域…250㎡、⑤周辺地区又は自動車ふくそう地区…250㎡ ④(特定用途)倉庫、工場…⑤駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域…250㎡、⑤周辺地区又は自動車ふくそう地区…300㎡ ④(特定用途)劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送用スタジオ、公会堂、集会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店、待合、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、舞踏場、遊技場、ボーリング場、体育館、病院、卸売市場… ⑤駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域…250㎡、⑤周辺地区又は自動車ふくそう地区…250㎡ ④非特定用途…⑤駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域550㎡ ※「横浜駅周辺地区」及び「みなとみらい21地区」は、⑤に掲げる面積について別途定めており、対象の区域および基準については「横浜市駐車場条例取扱基準別表」をご覧ください。 ②緑化について 「横浜市緑の環境をつくり育てる条例」の第9条第2項に示されている基準(緑化率)は以下のとおりであり、教育センターの緑化率は、公共建築物の基準が適応され、敷地面積が 1,000㎡以上の場合は、商業系用途地域では敷地面積の 10%以上、その他の用途で 20%必要となる。 緑化面積は敷地以外(建物の屋上や壁面)でも確保することができる。 緑化面積の測定方法については横浜市緑の環境をつくり育てる条例にもとづき基準が定められている。 別表1(第6条)緑化率(工場等・工場等を除く建築物・公共建築物) 出所:横浜市緑の環境をつくり育てる条例第9条の施行に関する基準 7.事業手法等の検討及び事業費の算定 (1)事業手法等の検討 1)導入可能な事業手法 新たな教育センター整備は、候補地から建物の整備及び施設維持管理、運営に至る範囲で民間活力の導入を視野に入れて検討を行うこととする。 事業手法は、市が建物を取得する場合と、賃貸する場合の2つに分類できる。 建物を取得する場合は、市有地を活用する場合や新たに土地を取得したり借地したりして用地を確保する。 建物を賃借する場合は、教育センターに必要となる施設を民間事業者が整備し、市が借り上げる場合と、既存の民間建物を借り上げ、市がリニューアルする場合等が考えられる。 建物を取得するための施設整備手法は、従来方式に加え、民間ノウハウを生かした発注方法である DB方式や DBO方式、民間資金を活用する PFI事業等が考えられる。 建物を賃借する場合は、新たな教育センターに必要となる施設の仕様にもとづき民間事業者が整備した建物を借り上げる方法と、教育センターに必要となる施設の仕様にもとづき市が改装を行い、建物を借り上げる方法が考えられる。 【表】導入可能な事業手法 2)民間活力を活用した事業手法の特徴 ①建物を取得する場合の事業手法 建物を取得する場合に、従来方式と民間ノウハウや民間資金等を活用した事業手法の考え方について整理し比較する。 〇従来方式 市が、施設整備に必要となる設計・設計監理業務、建築工事業務及び運営・維持管理業務の3つの業務について、それぞれ設計書や仕様書を作成し、入札等により発注を行う方式である。 〇設計施工一括発注(DB)方式 市が施設に必要となる規模や性能等を要求水準書で示し、設計及び工事を一括で発注する方式。 維持管理は市が行う。 材料や工法等の仕様は民間事業者の裁量に任されるため、工事費低減のためのチャンスが従来方式より広がる。 また設計施工一括発注により、発注の事務手続きが省略でき、設計者と施工者が連携することで実施設計業務等の設計費や設計期間の縮減が図れ、工期と費用の縮減が可能となる。 〇設計施工維持管理一括発注(DBO)方式 市が施設に必要となる規模や性能及び維持管理業務の内容を要求水準書で示し、設計及び工事と施設の維持管理業務を一括で発注する方式。 民間事業者の維持管理を前提に材料や工法等の仕様が民間事業者の裁量に任されるため、工事費及び維持管理費低減のためのチャンスが従来方式や DB方式より広がる。 また設計施工一括発注により、設計費や設計期間の縮減が図れ、工期と費用の縮減が可能となる。 〇PFI事業 設計・工事から施設維持及び管理に至るまでの全部または一部を民間の資金や経営能力及び技術的能力を活用して、適切なリスク分担のもと効率的・効果的なサービスの提供を図ることで、従来方式に対て事業費が縮減可能となる PFI法に基づく PFI事業である。 市は施設整備費を事業者に契約期間内に割賦で支払うこととなり、費用の平準化が図れる。 市は PFI事業を導入する手続きを経て事業者を選定した後、事業者と事業契約を結び、事業(設計、工事、運営)を実施することとなる。 【図】建物を取得する場合の従来方式と民活導入事業手法の比較 ②建物を賃借する場合 市は、必要な機能、規模及び賃料・維持管理費の条件を満たした施設を借り上げることとなるが、条件を満たした施設を賃借する方法には、教育センターの条件を満たした建物として民間事業者が整備したうえで借り上げる場合と、民間事業者の建物(既存建物等)を借り上げたうえで内装や設備等を市が整備する場合の2通りが考えられる。 内装や設備等を市が整備する場合には設計、施工を分離して発注する従来方式と一括して発注する方式( R方式)がある。 建物賃借方式では賃料、賃貸借期間や契約内容等の詳細な検討が必要になるが、いずれの建物賃貸方式でも、市が意図する計画やスケジュールに適合する民間事業者の有無が、事業実施の成否を決定することとなる。 【図】従来方式と建物賃借方式のイメージ 【参考】賃借方式の賃貸借契約期間について 建物賃貸方式には、普通借家契約と定期借家契約がある。 普通借家契約では、最大 20年の契約期間となるが、概ね2~3年毎に契約の更新を行うことが多い。 定期借家契約では、制度上の契約期間は無期限であるが、契約書に契約期間を明記することとなる。 なお定期借家契約では、期間満了時に再契約を前もって約束する再契約型が可能である。 借主である市が、契約期間満了時以降再契約を行わなかったり、中途解約したりすると、建物所有者は、市からの賃料収入がなくなるというリスクを抱える。 民間事業者がリスクを回避するために、中途解約のペナルティや期間満了時の原状回復等の義務を借主に課すこととなる。 よって市は本事業において適切な契約期間を設定し、その間の賃料を担保する事業計画を作成することが必要となる。 ※建物賃借方式における総事業費について 建物所有者は、設計費や建設費等の施設整備費、借入金の金利、維持管理費や運営費、租税公課及び運営経費等の費用や周辺相場より建物賃料や共益費を設定する。 賃料や共益費の単価は、周辺相場や施設整備費・維持管理費等だけではなく、契約期間や中途解約条項等の契約内容によっても異なる可能性がある。 (2)事業費の算定 従来方式における建物整備にかかる事業費の算定を行う。 1)建設費の算定 ①設計費の算定 国土交通省告示第 98号(※)を参考に、設計費を算定する。 ※平成 31年1月 21日公布・施行 ・参考とする建物の類型、用途 ・建物の類型:十二文化・交流・公益施設 ・建物の用途等:第2類映画館、劇場、美術館、博物館、図書館、研修所、警察署、消防署等 ・設計費算定の流れ ・設計工事監理等に係る人時間の算定 ⇒別表第 12の2文化・交流・公益施設(別添二第十二号(第2類)関係)から、直線補間により床面積に応じた人時間を算定する。 ・単価 ⇒技師 C(平成 31年度単価)より 32,000円/人日とする。 ・設計費 ⇒略算法(人件費×2)にて算定する。 ・設計費の算定 〇用途:教育センター 〇床面積:12,000㎡ 〇略算法:5,460人日×32,000円/人日×2(略算法係数)=349,440千円 〇設計費:3.5億円(税抜) 【表】設計及び工事監理にかかる人日の算定 出所:国土交通省告示第98号(別表第12の2より面積直線補間により算出) 【表】平成31年度設計業務委託等技術者単価(設計業務) ②工事費の算定 「建築着工統計調査」(平成 29年次:2017年1月~12月)を参考に、神奈川県総計における「公務用建築物の工事予定額」を「公務用建築物の床面積の合計」で除した金額より推計し、工事費単価を 45.5万円/㎡とする。 各候補地での建て方検討における床面積に工事単価 45.5万円/㎡(消費税含まず)を乗じて、工事費を算定する。 ・工事費の算定 〇用途:教育センター 〇床面積:12,000㎡ 〇算定:12,000㎡×45.5万円/㎡=5,460,000千円 〇工事費:54.6億円(税抜) ○公務用建築物の工事予定額:1,450億 7,878万円 ○公務用建築物の床面積:318,502㎡⇒14,507,878万円÷318,502㎡=455,504円/㎡ 出所:「第1表着工建築物 :用途別、建築主別(建築物の数、床面積の合計、工事費予定額)」(出所:国土交通省) 【表】建築着工統計第1表(平成29年計分) 着工建築物:用途別、建築主別(床面積の合計、工事費予定額)抜粋 出所:建築着工統計調査(国土交通省) 【表】参考:工事費予定額単価の推移 工事費予定単価の推移(各年1月~12月の集計値)工事費単価(円/㎡) 出所:建築着工統計調査(国土交通省)第1各市町村総計より推計 ③建設費の算定 ・工事費:54.6億円(税抜)、60億円(税込) ・設計費:3.5億円(税抜)、3.85億円⇒4億円(税込)(工事費の約7%) ・建設費:60億円+4億円=64億円(税込) 2)維持管理費の算定 ・床面積当たりの年間維持管理費の算定 横浜市公共建物マネジメント白書(第2版)第3章用途別実態把握より、公会堂、ホール等、区民文化センター、研修施設等教育センターの維持管理の参考となる施設の運営等に係る費用や施設規模をもとに、床面積当たりの年間維持管理費を算定する。 公会堂、ホール等及び区民文化センターのホール施設では、年間運営費は 30,633円/㎡のであり、これを参考に新たな教育センターのホール部分の維持管理費は 31,000円/㎡として算定を行う。 研修施設の年間運営費は 47,594円/㎡であり、これを参考に新たな教育センターのホール以外の部分の維持管理費は 48,000円/㎡として算定を行う。 【表】横浜市公共施設における面積当りの年間運営費の算定 ※年間総コストとは、平成29年度の管理運営費(移転的費用、減価償却費は含まない)の実績値に年間の修繕・改修費等を加えたもの。 具体的には、使用料、補助金・有料貸付料等その他、指定管理料等、修繕・改修費等の合計。 ただし、管理運営費又は年間の修繕・改修費等の一部が未把握な施設については、把握している部分の費用のみを年間総コストに算入。 使用料等が含まれる。 施設内容 ・公会堂:公会堂..16施設及び開港記念会館をあわせた…17施設 ・ホール等:関内ホール、みなとみらいホール、芸能センター能楽堂、技能文化会館、横浜アリーナ等…14施設 ・区民文化センター:青葉区フィリアホール、緑区みどりアートパーク、神奈川区かなっくホール等…10施設 ・研修施設:男女共同参画センター、社会教育コーナー、野島青少年研修センター等5施設 出所:横浜市公共建物マネジメント白書(第2版)(令和元年7月)より抜粋したa(平均規模)、b(施設数)及び.c(床面積)をもとに算定 ・新たな教育センターの維持管理費の算定 参考プランにおけるホール部分の床面積である 5,375㎡と、それ以外の床面積の 6,625㎡について、それぞれに面積当りの年間運営費を乗じて、合計したものを年間維持管理費とする。 〇ホール部分の維持管理費の算定:5,375㎡×31,000円/㎡=166,625,000円 〇ホール以外の維持管理費の算定:6,625㎡×48,000円/㎡=318,000,000円 〇新たな教育センターの維持管理費の算定:166,625,000円+318,000,000円=484,625,000円 ⇒新たな教育センターの年間運営総コストは約 4億 8,462万円と算定される。 8.事業スケジュールの検討 事業方式別にみた事業スケジュールは以下の通りである。 【表】事業手法別事業スケジュール案 従来方式…R3年基本計画、R4年建設者選定、R4年後半~R5年前半基礎設計、R6年入札、R6年後半以降工事、R9年後半開業 一括発注方式(B・DBO)…R年3基本計画、R4年募集要項、R5年事業者選定、R6~R8年設計・工事、R9年開業 PFI等民活導入方式……R3基本計画、R4年導入可能検討調査~事業選定、R5年募集要項、R6年…事業者選定、R6~R8年設計~工事、R9年後半開業 建物賃貸方式……R3年基本計画、R4年以降募集要項・業者選定・工事等→開業(対象施設によって時期は異なる)