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5 1人1アカウントの配付及びクラウドサービスの試行・活用


(1)考え方

国の GIGA スクール構想では、クラウドサービスの活用が基本となっていますが、本市においても、クラウドサービスについては、これまで試行校での取組や、新型コロナウイルスによる臨時休業に伴い、各学校が児童生徒や家庭と双方向でのやり取りを実現したり、状況に応じて活用を工夫するなど、様々な取組が見られました。
クラウドサービスの活用に向け、ハード面の整備のほか、児童生徒・教職員へのアカウントの配付、基本となるクラウドサービスの選定、研究・研修、支援体制の充実、情報モラル等のルールづくり等を進め、活用できる環境を整えます。
また、今後進めていく取組についても次ページ以降に記載するとともに、これらの取組にとどまることなく、今後各授業における ICT の活用について研究を進めていきます。
各学校においては、このような環境下において、まずは「教職員による活用」あるいは「特定の学年だけで活用」、「特定の教科だけで活用」など、できることから着手し、徐々に活用の幅を広げていきます。
こうした積み重ねにより、各学校におけるベストプラクティスを生み出し、その事例を研修等の場で共有し、市全体の取組として展開していきます。


(2)「基礎となる授業支援クラウドサービス」の試行・活用

今後は、前述の様々な取組を実現するため、適切なクラウドサービスを活用し、更る教育環境の充実を目指します。
本市では、平成 29 年度以降、一部の学校において、「Google」が提供する教育機関向けのクラウド型グループウエア「G Suite for Education」(以下「G Suite」)や、「株式会社 LoiLo(横浜市中区(※21)」が提供する授業支援クラウドサービス「ロイロノート・スクール」(以下「ロイロノート」)の試行を行ってきました。
ロイロノートは、直感的な操作による情報の収集や整理・分類、まとめ・表現が柔軟で、即時的なアウトプットがしやすいクラウドサービスです。
個々の情報活用能力を高めるだけでなく、教職員や児童生徒同士で情報を共有し、主体的に学習を進めることが可能で、協働的な学びを支援する効果が期待できるなどの特徴を確認することができました。
また、現在試行を進めている G Suite は、インターネットを利用した情報検索だけでなく、キーボード入力を伴うテキスト文書の作成や、アンケートの集計を簡単に図や表にまとめられるスプレッドシート(※22)など、様々な活用の可能性をもったサービスです。
社会に出た際に必要となる情報処理能力や文書作成プレゼンテーション資料作成をするための基本的な技能を身に付けられることが期待できます。
 

※21… 横浜市との間で、教育活動支援に関する連携協定を締結。(協定期間は令和2年7月 20 日~令和4年3月 31 日)
※22… Google 社が提供する表計算ソフト。




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校務においては、Google ドライブ(※23)を活用した学習データの蓄積、教材共有や、Google フォーム(※24)を活用した学校評価アンケートの収集・分析などにより、教職員の負担軽減が期待できます。
こうした授業支援クラウドサービスは、学校種別ごとに活用方法が異なり、求められる基準・機能が違うことが見込まれます。
また、各クラウドサービスの機能なども、日々更新されることが想定されるため、現時点では活用するクラウドサービスを1つに限定せず、両者の特徴を生かし、場面に応じて使い分けながら、今後の活用方法等について更に検証を進めていきます。


【今後の取組】

(1) 「基礎となる授業支援クラウドサービス」の本格活用に向けた準備・試行
【超短期】<新規>
令和3年4月の本格活用に向けた準備を進めるとともに、Zoom、YouTube、ロイロノートなどそれぞれの機能や特徴を生かし、目的に合わせて活用していくことができるようにします。
ロイロノートについては、「個人情報保護審議会への付議」、「児童生徒・教職員へのアカウント配付」、「研修の実施」、「段階的な試行活用」を行います。
令和2年度内に G Suite についても同様に進めます。

(2) 「学習教材の蓄積・活用のためのクラウドサービス」の活用検討
【短期】【中期】【長期】<新規>
学習支援クラウドサービス等の充実と合わせて、動画コンテンツなどのオンライン学習教材を今後充実させていく必要があります。
そのためには、授業などで使用する学習教材を蓄積し活用するためのクラウド環境の整備が必要です。
また、緊急時におけるオンライン授業や動画配信など、学習機会を保障するためには、家庭でも学ぶことができるクラウドサービスの活用が求められます。
中長期的には、「児童生徒の学習記録の蓄積・評価」及び「教職員の研修受講履歴と学習指導の記録」といった児童生徒、教職員双方のデータを整理分析し、教育のビッグデータとして、総合的に蓄積・活用し教育施策や学校現場等に生かしていくことの研究も進めます。
 

※23… Google 社が提供するオンラインストレージサービス。
※24… Google 社が提供する調査・アンケート集計アプリ。



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(3)オンラインを活用した取組

横浜市では、令和2年6月に通知「新型コロナウイルスの第2波、第3波に備えるための児童生徒とのコミュニケーションや学習保障のための ICT の活用について」を全ての市立学校あてに発出し、全市立学校において、「WEB 会議システム(Zoom)(以下、「Zoom」という)」と「学校 YouTube チャンネル(以下、「YouTube」という)」の活用を可能としました。
Zoom については、教職員が校内で密集を避けるために分散して職員会議を行ったり、教科等の研究会の会議・研修において集合せずに実施する取組がみられ、各学校での活用が進んできました。
また、学級での活動や個別の相談が可能となりますが、各家庭の端末や Wi-Fi 環境に加え、児童生徒と教職員がリアルタイムで対応する必要があることから、教職員の研修のほか、児童生徒・教職員間での練習、ルール作りなどが必要です。
YouTube については、教科書を活用した授業を前提とした場合、著作権が課題となりますが、各学校単位や複数校の間での発信・活用であれば、届出により著作物の利用が可能となるよう、法律の改正(※25)がされました。
Zoom や YouTube については、授業のみならず様々な場面での活用の可能性があることから、各学校での好事例や取り組んだ課題を共有していくことが重要です。


【今後の取組】

(3) 「WEB 会議システム(Zoom)」と「学校 YouTube チャンネル」の試行・活用
【超短期】【短期】【中期】<新規>
Zoom の体験研修や YouTube の活用方法の周知を進めます。
令和2年度は緊急時に備え、全学校においてオンラインを活用した取組を実施できる準備を整えます。
また、新教育用ネットワークの利用が開始するまでは、モバイルルータの活用も併せながら対応をしていきます。
中期的には、国の動向とクラウドサービスの機能の状況等を踏まえながら、活用場面の検討や授業の内容、学習評価の位置づけについても、検討していきます。


(4)クラウドサービス等の管理の在り方
 これまでは、基幹となるシステムをベースに、必要に応じて個別にシステムを構築・活用していましたが、今後は、個別のシステムが担っていた役割をクラウドサービスが担う場面が多くなることが考えられます。
この結果、個々のシステムの管理、費用負担が削減される一方で、クラウドサービスについては、学校での円滑な活用のため、研修の実施に加え ICT 支援員と学校サポートデスクによる支援等を進めます。
 
※25… 著作権法の改正により、ICT を活用した教育での著作物利用の円滑化を図るため、「授業目的公衆送信補償金制度」が令和2年4月に施行。




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特に、クラウドサービスは、アカウントと端末等があれば、家庭においても活用可能です。
令和2年3月からの新型コロナウイルス感染症による一斉臨時休業時には、端末が利用できない家庭もあるといった課題もありました。
このため、学校に整備された端末を学校から貸し出して、家庭等に持ち出すルールについても定める必要があります。
また、有償のクラウドサービスについては、アカウント単位などで費用負担が必要となることから、教職員及び児童生徒数が多い本市においては、費用が多額となるため、国への予算要望や受益者負担の視点など、費用負担の在り方について検討が必要です。
 

【今後の取組】

(4) 「クラウドサービス等の管理の在り方」の検討
【超短期】【短期】【中期】 <新規>
端末については、原則として学校保管とし授業での積極的な活用を図ります。
緊急時等、学校長の判断で持ち出しが可能となります。
中期的には、学習活動の多様化や、個に応じた支援の視点に加え、適切な端末管理やセキュリティに配慮した持ち出しルールの検討を進めます。
クラウド利用に関するアカウントについては、超短期的には、緊急時等への対応として市立学校全児童生徒に1人1アカウントを事務局が一括で付与します。
短期的には、転出入や氏名登録などを学校が臨機応変に操作できるよう、学校に管理者の権限を付与し、管理者や担当者研修を行います。
教育用有償サービスについては、中期的には、国の動向やクラウドサービスの機能の状況等を踏まえながら、学校種ごとに求められる活用場面や端末固有の特性に応じ、管理・運用面も含めてどのようなコンテンツが必要か検討していきます。



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<コラム2> 民間企業との連携協定による取組

1 株式会社 LoiLo(横浜市中区)との連携
令和2年7月 20 日に株式会社 LoiLo(横浜市中区)と教育活動支援に関する連携協定を締結しました。(協定期間:令和2年 7 月 20 日~令和4年3月 31 日)
今後、横浜市における GIGA スクール構想の実現に向けて連携・協力した取組を進めます。
具体的には、児童生徒及び教職員に対すロイロノートの無償利用の提供や必要な研修の実施、活用に係るフィードバック、成果や課題の共有、発信に取り組んでいきます。
なお、令和2年度中は、新しいネットワーク環境を整備中であり、限定的な活用になる可能性もありうると考えていますが、令和3年4月以降は新しいネットワーク環境と端末により、幅広く活用が可能となります。

2 デジタル教材の導入について
今後はソフトの整備や、指導する教員のICT 活用指導能力を育むことが必要です。
横浜市では株式会社小学館と連携協定を結び、小学館発行の『教育技術』の紙面データを、教材等共有システムを通じて閲覧可能にし、デジタル化に対応する教材づくりの支援を行い、今まで紙で配布していた教職員研修のサポートブックや資料等もデジタル化できるように検討を進めていきます。

3 プログラミング教育における外部連携
平成 30 年度より岩崎学園(情報科学専門学校)の協力で、学生がプログラミングの体験を伴う授業への支援や、校内研修へのサポートを行ってきました。
学生の社会貢献と学校ニーズを組み合わせた取組として継続しています。
また、株式会社ディー・エヌ・エーとの包括連携協定に基づく取組の一環として、同社が提供するプログラミングアプリ「プログラミングゼミ」による市内の学校での事例創出や研究開発を行っています。

【写真】<連携協定式>
【写真】<教育技術>
【写真】<学生による授業支援の様子