広報よこはま神奈川区版 5・8・9ページ
2020(令和2)年5月号 No.271

◯特集
救急隊員が伝えたい
暑さに負けない体づくりと熱中症対策

 近年は5月頃から急に気温が高くなったり蒸し暑くなったりする日があるため、早い時期から熱中症予防のための対策をすることが大事です。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、外出自粛が呼び掛けられていますが、屋内でも熱中症になる可能性があります。
 「暑さに負けない体づくり」とは!? 救急隊員の皆さんに聞いてみました!


●神奈川区内の熱中症による搬送人員の割合(令和元年・月別)

5月 7%
6月 7%
7月 19%
8月 52%
9月 15%

令和元年の神奈川区内の熱中症による搬送人員は81人でした。
※熱中症の統計は5月1日から9月30日までのものです。

7、8、9月の熱中症による搬送人員は全体の86%

神奈川消防署警防課 救急救命士 吉田祥一朗(よしだ しょういちろう)
「熱中症は7月から急増して、8月にはピークに。今からしっかり備えよう!」



〈ウオーキングなどで体づくり 体を暑さに慣れさせる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」をしてみよう〉

 体が暑さに慣れておらず、汗をかく機能が鈍っている時期は熱中症になりやすいので、夏が来る前から注意が必要です。暑さに体が慣れるのには時間がかかるため、暑くなる前から体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」が熱中症を予防するための重要な要素の一つです。
 暑熱順化は、「ちょっと暑い」「ちょっときつい」と感じるくらいの30分程度のウオーキングを毎日継続することで、効果を得られるといわれています。日頃から汗をかく習慣を身に付けて暑熱順化をしていれば、暑さにも順応しやすくなります。皆さんも取り組んでみませんか。

神奈川消防署警防課 藤堂貴之(とうどう たかゆき)
「救急隊員も取り入れています。運動をする前や後の水分補給も忘れずに。日頃からウオーキングなどをする習慣を身に付ければ、生活習慣病の予防の効果も期待でき、一石二鳥♪」

かめ太郎
「ウオーキングなどで体を動かした後は、石けんを使った手洗いや手指のアルコール消毒をしよう」



〈どの世代でも熱中症になる可能性が! 救急搬送事例で見る熱中症を予防するための対策を知ろう〉

●事例1 70代/ひとり暮らし
扇風機のみを使用して生活していた。ある朝、ベッドから起き上がることができなくなってしまった。
「エアコンを適切に使い、就寝前に水分補給すれば防げたかもしれません。」

●事例2 50代/会社員
朝から昼過ぎまで屋外で仕事をしていて大量の汗をかいた。その後、全身の倦怠感(けんたいかん)やふらつくような症状が出てきた。
「ときどき日陰など涼しい場所で休憩し、水分だけでなく塩分もこまめに補給すれば防げたかもしれません。」

●事例3 10代/高校生
部活動中、屋内で武道の稽古をしていて、体のだるさや手足のしびれの症状が出た。
「屋内でも蒸し暑く大量に汗をかいた場合は注意が必要です。水分と塩分をこまめに補給すれば防げたかもしれません。」


〈日頃からできる熱中症対策〉

●暑さを避ける
日陰など涼しい場所に移動する、室温28℃を目安に適切な温度になるようエアコンを使う、軽装にする

●こまめな水分補給
のどが渇いたと感じなくてもこまめに水を飲む、外に出るときは水筒などを持っていく、大量に汗をかいた場合は、スポーツドリンクなどで塩分も補給

●暑さに備えた体調管理
十分な睡眠をとる、しっかりとバランスのとれた食事を取る、過度なアルコール摂取はしない

神奈川消防署警防課 救急担当係長 奥田健介(おくだ けんすけ)
「のどの渇きを感じたときは既に体内の水分は不足している状態です。のどが渇いていなくてもこまめに水分を補給しましょう。1回に飲む量はコップ1杯程度(150~200mL(ミリリットル))にしましょう。スポーツドリンクは、水分と同時に適量の塩分を取ることができます。」


高齢者と幼児は特に注意を
 高齢者は年齢とともに暑さや喉の渇きを感じにくくなり、熱中症になると重症化する恐れがあります。屋内でもこまめに温度を確認し、水分補給をしましょう。
 幼児は体温調節の機能が十分に発達していないため、注意が必要です。こまめに水分補給をし、顔が赤く、汗を大量にかいているときは涼しいところで休憩するようにしましょう。


〈熱中症になってしまったら・・〉

●熱中症の症状と対応
 熱中症は重症度によって主に3つに分類されます。症状によって、適切に対処しましょう。

Ⅰ度(応急手当)気分が悪い、立ちくらみがする、手足がしびれる
Ⅱ度(医療機関へ搬送)頭ががんがんする、吐き気がする、体がだるい
Ⅲ度(入院・加療)意識がない、けいれんしている、呼び掛けに対して返答がおかしい

神奈川消防署警防課 指導救命士 佐藤洋正(さとう ひろまさ)
「意識がはっきりしないときや応急手当をしても改善が見られない場合は、すぐにⅡ度以上と判断し、医療機関に搬送するか救急車を呼びましょう。」

●応急手当の方法
風通しのよい日陰や冷房の効いている屋内などの涼しい場所に避難させましょう。
衣服やベルトなどをゆるめ、安静にして寝かせましょう。
首のまわり、脇の下、太もものつけねなどの太い血管がある部分を冷やしましょう。
※氷が無いときは、冷えたペットボトルを使うのも有効です。

神奈川消防署警防課 救急救命士 大坪愛(おおつぼ あい)
「自力で水分が摂取できないときは、無理に飲ませないようにしましょう。誤飲してしまう可能性があります。」

●判断に迷ったとき、困ったときは
横浜市救急相談センター(年中無休・24時間対応)
電話 #(シャープ)7119 または 電話232-7119

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